プロレタリア病棟

派遣社員として工場に勤める事が決まり、働くにあたって、派遣先と派遣元の両方の健康診断を受けなればならなかった。時間が無いらしく、同じ日の午前中、90分くらいの間に二度、それぞれの健康診断を受ける事になり、先に派遣先の工場内にある医務室で受け、その後、派遣元の会社が指定する、その工場から近い病院で、また検査を受けた。採血の為の注射は、それぞれ右手と左手に分けて刺して貰った。レントゲンを連続で二回も撮影するのは、放射能に敏感になっている昨今、嘘かホンマか解らない情報が頭に入れられているので、あまり気分の良いものでは無かった。
それでも、採血、レントゲン、その他の血圧や身体測定などは、100パーセントこちらは受け身の立ち場だから、楽ではある。だが検尿となると、こちらから尿を出する、という、攻め、の要素が少なからず含まれており、やや不安がある。たった数十分前に先の検査で出したばかりの尿が、果たして今度も、この手渡された紙コップ内側の規定の線にまで届せる事ができるだろうか。
これは、全くの杞憂でしかなかった。線まで達するどころか溢れんばかりであった。私は生まれて初めて、自分で自分のボウコウを褒めてあげたくなった。
詳しい結果は後日なのだが、おおよそ問題は無い、との事である。唯、先に受けた工場内医務室での血液検査で、そこの医師から「あ、白血球が少ないなあ。けどまあ、大丈夫...でしょう!」と言われ、その「...」の溜めた間が、如何にもオマケ、という感じだった。