ざっくり北日本旅行 2

7/24。
盛岡から宮古へ行く為、10時発、イベント列車、ポケモン・トレインの切符をとる。
ポケモン」の事は、実はよく知らないのだけれども、取り敢えず子供向けの漫画、ゲームである事は知っており、見た所、子供もいない30代夫婦でこれに乗るのはやや抵抗があったが、宮古まで行ける鉄道はこの時間はこのポケモン・トレインしか無い。
私は恥ずかしいので、緑の窓口の人には、本当は知っているのに、この時間の宮古行きはこれしか無いのか?と、確認をし、自分達はこの時間にどうしても宮古に行かねばなら無いから、やむ負えずこれに乗るのだ、と云うアピールをした。

列車に乗り込み、発車の時間を待っていると、突然車内に、「ピガー!ピィカピィカ、ンガウゥ!」などと奇声が響き、驚いた。
一体何事かと警戒していると、その奇声の後にテンションの高めの女性によるアナウンスが流れ、「今日はポケモン・トレインに乗ってくれてありがとう!今から終点までの間、いっぱい遊ぼうね」と言った趣旨の事を喋っている。
おそらく、先の謎の言語を後の女が翻訳してくれたものと思われ、この奇声、その後の女性アナウンス、というパターンは、この後の運行中にも何度かあり、その度にビクってなった。

発車して間も無く、更なる受難。
奇声の次は異臭である。
私達夫婦の指定席は、二人掛けの座席が対面する計四席のボックス型になっており、どうも、と云うより明らかに我々の対面に一人で座っている乗客から臭うのである。
初め私は、これもポケモン・トレインによるサービスの一つで、例えばスカンク、またはカメムシをベースとしたタイプのポケモンが、私達と一緒に同席してくれているのか、とも考えたが、目の前に座る姿形は、どう見ても我々と同じヒューマン、そのオスであり、その行動を観察していると、どうやら単に熱心な鉄道ファンである、と云う事が判明してきた。
私は先日から風邪で喉を痛めており、口で呼吸をすると咳が出やすく、更に喉を悪化させる恐れがあるので、殆ど鼻だけで呼吸をせざるを得ない状態。嗅覚を感じるのは鼻なのです。
申し訳ないが、幾ら何でも度を越している、辛過ぎる、と思っていた所、添乗員さんが、多分、先に車内販売で乗客を回った際に勘付いていたのか、私達に気を使ってくれ、空きの席を使っても良い、と別席に案内してくれた。
失礼かな、とは思いながらも非常に助かった。

宮古に到着。
ここから岩手県北バス、岩手県交通三陸鉄道、BRTを乗り継ぎ、気仙沼まで、三陸海岸沿いを下る。
BRTとは何か?
これは震災で甚大な被害を受けた、この地区のJR線が、仮の復旧として開発したバス高速運行システムの事で、おそらく元線路があった道を埋めたてて嵩上げ、舗装をしたのでは無いかと思われる、バス一台分が通れる幅の専用道路を作り、そこにバスを列車代わりに走らせる、というユニークな交通手段である。これは新鮮で、乗っていて楽しい。

一度訪れたかった。
宮古から最初に乗った岩手県北バスの車内で「このバスは国の補助金により運営をされています。利用者が少なくなれば補助金が打ち切られ、廃線となってしまうので、これからもどうかご利用をお願いします。」といった内容のアナウンスが流れた。
テレビ等でよく、来るだけでも被災地には支援になる、ような事を言っているがこういう意味もあるのだろう。
道中、美しい海の風景と津波の跡。
3年経つが、かなりの場所が未だ土地の嵩上げをしているぐらいの段階。
まだまだ時間がかかりそうに思う。

日暮れ頃、気仙沼に到着。予約した宿は、視察に訪れた県外からの役人や、復興の建設関係労働者達が長期滞在をする為のような施設。新しくて綺麗。翌朝の朝食バイキングも美味しかった。