島根貧乏旅行

二泊三日、島根を旅行。
安来、松江、大田、出雲の行程を、主にJRを使って周る。
特に素晴らしかったのは世界遺産石見銀山のある大田市大森地区の、かつて鉱山で賑わった古い町並みで、平日午前中の、まだ観光客の少ない中を、じっくり眺めて歩く事ができた。

去年秋に前の職を辞めて以来、時間ができたものだから、ほぼ毎月のように妻と旅行に出ている。
時間的余裕ができたと云うことは即ち、経済的余裕は無くなってくるのが当然である。
それを現在の仕事の、生活費さえ厳しい僅かな収入で、貯金の目減りに怯えながらも毎月のように旅行をしようと云うのだから、私達夫婦の旅行と云うのは、グルメ無し、温泉無しの貧乏旅行である。

先ず、未だ訪れた事の無い土地を選び、そこで何を観て、何処を歩きたいかを大体決めると、あとは妻が、じゃらんるるぶ、私のアイフォーン等を用い、如何すれば最も安く、宿賃、交通費等を抑える事ができるのか、どのように乗り継げばより効率良く、沢山観光できるか等を、執念とも思えるぐらいに、時間をかけ徹底的に調べ上げ、旅程を組み立てる。
時には、グーグルのストリートビューと云うサービスを用い、予めバーチャル世界でその町を散策しており、目的地までの道順は完璧である、なんて事もある。

昨今のホテル業界の競争の激化で、以前比べると随分宿泊料金が安くなったのは、我々としては助かる。
つげ義春の紀行文を読むと、彼も旅費を安く抑える為、宿は行商人等が利用する商人宿を利用したり、家族旅行の場合では国民宿舎や質素な民宿を選んでいるのだが、それでも1980年代では一人一泊6000から8000円ぐらいの料金を払っている。
私達の利用するのは朝食のみのビジネスホテルで、条件は異なるにしても、その半値ぐらいの宿代で済んでいる。

昼食は観光中だから、どうしても外食になるが、夕食は殆どの場合、ホテル近くのスーパーを探し、そこの惣菜や弁当、缶ビールで済ませる。
その土地の名物は食べ無くても、こちらでは見かけない一品が並べられていたり、ある意味、その土地の人々が普段食べる物と同じ物を食べていると言え無くも無い。
ただ、以前ある県で宿泊したホテルの近くは、どうしても歩いて行ける範囲のスーパーが見つからず、コンビニの弁当で済ませた事があったのだが、流石にこれには旅の気持ちが萎え、二度とするものでは無いと心で誓った。