3泊4日 北陸アンチ蟹三昧の旅 3

最終日。
これまでで最高級のホテルの朝食だけあって、大変美味しい。と云っても二人で朝食付き9000円をポイント値引きで5800円の宿泊料金程度なのだが、建物内の、初めて入るようなオシャレなイタリア料理店のバイキングで、特にマカロニのギザギザしたヤツ、ペンネで合ってるのだろうか?が、ギザ・ウマスであった。
たあんと食べて腹を満たし、金沢市内観光。
テレビ番組「何でも鑑定団」でお馴染みの中島誠之助氏の著書を読むと、古九谷焼と共に、産地である加賀百万石、金沢についても、他所とは違った「来るなら来なさい」と云った、高い気風を持った街である、と称賛を以って書かれており、さぞ上から目線で見られるかと気負っていたが、実際来てみれば、非常に観光客への配慮、整備が成されている所で、寧ろ、今まで来た街の中でも最もウェルカムな印象だった。

兼六園21世紀美術館を見る。兼六園のような伝統的な日本庭園の直ぐそばに、最先端の芸術に気軽に触れられるような美術館がある。一部、入場料の必要なブースもあるのだが、殆どは無料で観られ、それだけを回るのでもかなり面白い。館内でゲリラ的に創作ダンスのようなパフォーマンスも始まったりして、自分にはよくわから無い世界だが、何にせよライブで観るのは良い。

昼過ぎ、帰りの時間が近づき、駅に向かっていると、途中、ショッピングビル地下の階段前にチェーンのパン屋であるヴィドフランスの看板を見つける。
私はヴィドフランスの大変なファンで、10数年、大阪に住んでいた頃、給料日には、アルバイト先のある梅田地下街の店舗で、ここのパンを買い食いする事が当時の唯一の贅沢だった。
残念ながら私の住む徳島には無い。なので旅先にてこのヴィドフランスを発見した場合、ご当地の駅弁そっちのけで、ついパンを選んでしまう。そんな具合だからやはり今回も看板を目にするや、自然と階段を下っていた。
帰りの電車内で食べる為のパンをトレイに乗せレジに並ぶと、私達の前に、観光客と思わしき外国人老夫婦がパンの清算と、そのまま店内で食べようとしているらしく、飲み物を選んでいた。先にご主人の方はエスプレッソを注文して席に着く。すると、恐らくは米国人の老夫人は、店員の女の子に英語で何やら質問しているようなのだが、女の子はわからない。隣のレジの子にも助けを求めるようだが、こちらもどうも通じない。結局、老夫人は諦め、しょうがない、と云う感じでノープロブレム、とかわいそうに、飲み物無しで席に着いた。
老人が、飲み物無しでヴィドフランスの濃密なパンを食べるなど、まず窒息は免れず、自殺行為と云っても過言では無い。こんな時に自分が英語ができ、さっと老夫人の注文を代行して見せられれば、大変に格好が良く、この外国人夫婦から感謝され日米友好の架け橋、レジの女の子達からはモテる、ヴィドフランス本社から、先日懸賞で当て損ねたパン商品券二万円が贈られたかもしれない。
つくづく自分は、島国の黄色い猿野郎だ思った。