3泊4日 北陸アンチ蟹三昧の旅 1

北陸辺り、3泊4日の旅行。

少し前から、一度はビジネスホテルでは無く、温泉旅館で豪勢にと、インターネットで宿探し、根が貧乏性な夫婦であるものだから、値段を見ては躊躇、ここなら良いか、と目星を付ければ二人共が苦手な蟹尽くし料理、と云う具合で、ずっと決めあぐねて計画は一向に纏まらない。
やはり温泉旅館は我々には不相応、とにかく旅には出ようと、結局、いつもの貧乏路線に変更し旅程を立てたのが9/30、翌10/1には大阪行きの高速バスに乗り込んで、大阪駅、午前10時JR北陸線特急サンダーバードで福井へ。

禅宗の一つ、曹洞宗の本山、永平寺を訪れる。永平寺は一人前の住職になる為、常に200人程の雲水達が日々修行を重ねながら共同生活をしているお寺であり、数年前、NHKでここ永平寺に関するドキュメンタリー番組が再放送されてたのを見て以来、ずっと興味があった。
その番組中に禅問答のシーンがあって、広く暗い法堂内、修行僧達が順に、上座に座る老師の前へ走り出て、手を合わせ、仏とは、悟りとは、など様々な事を問う。それに対し老師が答えると修行僧は「尊答、じゃしたてまつるう」と礼を述べて、次の順に回していくのである。
その中で特に覚えている内容、実際は仏教の言葉で行われており、理解し難い為、口語訳の字幕が出ていたが、このようなものである。

修行僧「この永平寺は冬となれば、周囲一切が雪の白に覆われてしまいます。白く無い時など、一体あるのでしょうか?」
老師「・・・、白い時は白い、白く無い時は白く無い!」
修行僧「尊答、じゃしたてまつるう」

ナンバーガールの曲に「禅問答、答えは無い」と云う歌詞があるが、この番組を見た時は、随分な力技だと思って驚いた。しかしながら、確かにそれ以上の真実、答えは無いのかも知れないな、などと一人で納得して現在、目の前には白く無い永平寺
再放送された、多分1970年代ぐらいだと思う永平寺を見た私は、かなり厳格なイメージを抱いていたのであるが、実際行ってみると、拝観料500円で伽藍の殆どを見学する事ができ、非常に観光客には解放的なので驚いた。
230枚の天井絵や、四天王像といった文化財価値ある物も良いが、何より、お堂の横、作務衣の若い修行僧達が、座って普通に談笑しながら、御供え用か何かの草を束ねている姿や、僧侶のコンビが真剣な声を張り上げ、防火訓練を行っている姿など、修行僧達の普段の生活が、あちこちに見られるのは新鮮な楽しさだった。
永平寺見学を終えて、山に囲まれた門前町の散策。帰りに乗るバス亭前の店で、遅い昼食。蕎麦、胡麻豆腐などを食べる。
それでもバスの時間まで時間があったので、再び町を一周して戻って来ると、先程の店の人が外に出て、何故か自分達を待ち構えていた。
どうやら私が携帯電話を置き忘れていたらしい。自分自身は忘れてる事すら全く気付いても無かったのだが、実はこの携帯、つい先週壊れたのを買い換えたばかりで、しかも、旅行に必要な列車の予約番号や宿の住所など、全てのデータが入っており、もし無くしていたらと思うとゾッとした。かなり気に掛けて頂いてた様子で、申し訳無く、とても有難く思った。

福井市街中心にあるビジネスホテルに宿泊。私達夫婦は貧乏旅行者なので原則、昼食を遅くとり、晩飯は食べない。軽い晩酌に乾き物程度で済ませるのだが、このホテルはチェックインの際、お夜食にどうぞ、とオニギリを一つずつ用意してくれていた。嬉しや。