少子化問題を考えたい

近所のスーパーに買い物に行くと、通路4つ角の真ん中で、4、5歳くらいの少年が靴を脱いで座り込んでいる。砂遊びでもして来たのか、靴内に入っていた砂のようなものを床に撒いたようなのだが、その粒を再び拾い集めて靴の中に戻しているのである。
ずいぶん一生懸命な様子ではあるが、その行為に何の意味があるのか解らず、私はつい、ブっと吹き出してしまった。
すると、今度はその少年の方が、私が今笑ってしまった事に異様に興味を示し、もうその場から立ち去る私の後を、「ん?んん?」などと嬉しげな笑顔でついて回り始めたのである。
まるで、一度食べ物を与えたノラのチビ犬である。
私はあまり子供が好きでは無い。嫌いとまでは言わないが、苦手である、とは言える。何を話して良いのかわからない。

30歳半ばになって、自分の周りにも子供がいる友人は多くなった。中にはもうすでに幼稚園、小学校低学年くらいの年齢の子もおり、自分がよく出入りするライブハウスでは、母親に連れられて、防音用耳当てを装着した姿の少年少女が、しばしば父親の演奏を観に来たりしている。
私と同じバンドをやっているNなどは、年齢こそ法律上は大人だが、頭はまるきり彼らと同様なため、遊んでやっていると言うより、むしろ意気投合、愉快でたまらない、という風に、一緒に追いかけ合いをしたり、「ねるねるねるね」を混ぜたりしている。
私はというと、やはり何を話したら良いかさえわからない。「ねるねるねるね」も、私が混ぜては色は変わらないだろう。

うどんコーナー、酒コーナー、パンコーナー、豆菓子コーナー、もう一度うどんコーナーと、買い物を続けているのだが、少年は何度も「ん?んん?」をくり返しながら、まだついてくる。