九州うまかもん紀行 外伝

11/20。
一応には九州を一周した事になるので、本来はこれで帰路に着くか、大相撲九州場所の星状況によっては再び博多に行き、そのまま千秋楽まで見守るか、と云う選択だったが、今場所もこの時点で彼の優勝の望みは薄く、観戦は止め、しかし一方の帰路についても、福岡から格安空港を使った場合では飛行機、鉄道、フェリーの時間がうまく繋がらない事が判明。
ならば、去年に行った尾道をまた訪れたいと云う思いがあったので、そこでもう一泊する、鉄道中心の山陽経由で四国に帰る事に決める。

午前中、ゆっくり門司で土産でも見ようと思ってたが、ホテル近くに乗り場のある、下関唐戸との連絡汽船が気になり出した。
時刻表を見ると20分おきに往復便があり、簡単に行って戻って来られそうなので、少し唐戸の町も見てみようという事になった。
この船は乗り込みがとても慌ただしく、運転も荒っぽい。20分おきのダイヤも、あまり気にせず到着すれば直ぐまた出発、と云う感じで往復を繰り返している様。どうやらこれは理由があって単に荒いわけでは無いらしい。
関門海峡は、潮流が速い上に、最も狭い所では幅が650m程しか無い。この海域に、小さな漁船から巨大タンカー、時に軍艦までもの様々な船が、日に600隻前後も往来をしているらしく、この海域を横断する事を例えるなら、ラッシュ時間のバイパス道路を、ヒト、自転車、或いはトイ・プードル等が、信号も横断歩道も使わず突っ切っているようなもので、とてものんびり観光遊覧気分で進んでなどいられない。
実際乗っていて、10分にも満たぬ移動時間の間に、このまま進んでいたら当たるのでは?というぐらい、直ぐ目の前をガンガン船が通過して行った。操舵手には相当な技術、判断力、度胸が必要だと思った。
唐戸市場を見学し、隣接する飯屋で河豚のたたき丼を食べ、門司に戻った。

門司から小倉に戻り、新幹線で広島県三原。三原から各駅列車で一年ぶりの尾道に着いたのは夕方5時過ぎ。
宿泊先は去年と同じ高台にあるタイ料理屋兼ホテル。ホテルまでの階段がかなりキツイのだが、ここのタイ料理と景色は素晴らしい。
秋も終わると云うのに汗だくで、息を切らしながら登る。陽はほぼ沈み、階段と坂道には灯が点いて情緒的である。ホテルまでもう少し、と云うその時、闇の中の階段を一つ飛ばしで下ってゆく、メイド服姿のおじさんとすれ違った。