暮らしの中のハードコア

仕事をせず、勉強せずの生活が楽しいのは精々初めのニ月くらいのもので、自分は高額な健康保険料の整理をする目的に務めた臨時職員の仕事に就く前に、既に二月以上無職を経験済みで、最初は面白かった近所の散歩にも今は飽き、日々、言いようの無い不安と暇と戦っている。

これを紛らわす為にする事は、バンド活動や旅行以外では大体、本を読んだり、ケーブルテレビ徳島にて毎日のように放送されている阿波踊り体操を、登場する踊り子に合わせて行い、日々健康に気を使ったりしているのと、あとは音楽を聴く事。やっぱり自分も自称ミュージシャンの端くれの先っぽである訳で、人の平均よりは音楽を聴いているんじゃないかと思う。

しかし今日は朝から聴く音楽を誤った。
私は朝っぱらからスウェーデンのハードコアバンド、リフューズドを聴いてしまったのだ。
パンクと云う音楽のジャンルは社会への不安不満に対する反逆の精神から生まれた部分があり、そこから更に余計な部分を削ぎとし、フラストレーションに任せてスピードを上げていくと、それらの楽曲は、ハードコアと呼ばれるようになっていった。
ハードコアはそんな音楽だから聴いていると、少なからず暴力的な気持ちになり、中でもこのリフューズドが演奏して歌う楽曲群は、その傾向が顕著で、彼らの煽るようなリフ、メリハリの効いたストップ・アンド・ゴーの展開に、聴いてる者は居ても立っても居られないような、自分が凄く喧嘩が強くなって、誰かを殴りたいような気分になる。
しかしながらもし、そうやって興奮した私が、実際にストリートに飛び出し誰彼無くファイトを挑んでも、俺は最強、と感じているのは、ハードコアによる血の逆流がもたらす錯覚であり、当然、弱い私の繰り出すパンチ攻撃などは相手には一切当たら無い。逆にその手を後ろに捻じ上げられて「痛い、ギブギブ」と言って終わりである。

そんな事を考えてたら昼になったので、メシを食いながらテレビを観ようとスイッチを入れると、BSのNHK番組「新日本風土記」が再放送されている。今日は尾道の暮らしにスポットが当てられており、これは見て無い回で、しかも尾道は好きだから良かったー、って思ってたら、この時間にこの番組が放送されているという事は今日はもう木曜日。
しまった。今週の火曜は「なんでも鑑定団SP」があったのを完全に忘れていた。今回の最大の目玉は我らが阿波藩が生んだ天才浮世絵師、写楽の浮世絵版画とCMで見て、非常に楽しみにしてあった筈なのに、二日も経過して気づくなど、曜日感覚が完全に崩壊してしまっている。
本当に悔しい。鬱憤が溜まってゆくのがわかる。リフューズドを聴いて、ひと暴れしようと思う。