無用者の景色

大相撲名古屋場所が始まっている。
年六回の本場所が行われる奇数月の15日間は、いわばお祭りの期間であり、私もその間は相撲の事を気にしながら日々を過ごす。
職に就いてた頃は、休日、リアルタイムでテレビ観戦できるのを楽しみに待ちながら、社有車のラジオで聴いたり、遅い帰宅後に録画で観たり、程度だったのだが、現在のような毎日が休日の状態になると、これがかなり問題になってくる。
仕事をしてない時点で問題では?という指摘はここでは置いて頂く。指摘された場合は暴力に訴えてしまう恐れもある。

大相撲放送は地上波では、大体は幕内の取組が始まる16時前ぐらいからの場合が多いが、BSでは序二、三段目辺りが取組中の13時から見る事ができる(前相撲、序ノ口の取組は朝8時半ぐらいから始まっている)。

ここから見始めると昼酒をやってしまうのである。
だったら見なければ良いし、飲まなければ良いと云うだけの話かも知れないが、今、自分はとても暇で時間があり過ぎ、一度この辺りの番付の相撲も観てしまうと、例え殆ど名前も知らない力士達の取組でも、中々見応えがあるというのが解ってしまった。

と、なれば呑んでまうんにゃわ。
更に今場所は十両も、新鋭、逸ノ城が底知れぬ強さを感じさせたり、小結経験もあり、怪我からの完全復活を思わせる栃ノ心がこの番付に居たり、新十両の旭大星が多彩な技を魅せてくれたりで、相当面白いのである。
放送を見始めて暫くは、特に平日、まだお天道様にも多少申し訳無い感が有り、大人しくしているのだが、西陽が部屋に差し込みだす、十両の取り組みが始まる15時前くらいには、もう我慢が出来なくなり常備の焼酎に炭酸を注いでしまう。そして中入りの頃には、決して酒が強い訳では無いので、いつも少し眠ってしまい、幕内が始まると、目覚めてまた飲み始め、大関登場当たりにはかなり酩酊してしまっている。
そうなると、一日の半分以上が酔っ払った状態で、まあ、夜にバンド練習などの用事があれば飲まずに済むが、そういう場合を除けば、本場所のある約二週間は、ほぼ夢うつつで暮らす事になる。
妻もいよいよ心配になったか、私は叱責を受けた。この時期だけやけん許してちょびひげ、とも思うが、我慢せねば、とも感じている。

日本を代表するパンク歌手であり、芥川賞作家でもある町田康氏は、活動を休止していた20代後半、毎日朝から晩まで四本の再放送時代劇をテレビで観ながら、酒を飲んで酔っ払う、というだけの生活を、何と三年間も続けた。
こんな人には到底敵わないが。