休止休止サギ

もう先月の事だが、半年ぶりにライブ演奏を行った。
fixing a hole record招聘によるイギリスのメロディックパンクバンド、headsparksのジャパンツアー、その徳島編への参加だった。
とても良いイベントだった。
メインのheadsparksはもちろん、地元バンドもabsents、silverwigs、bowsと最高のバンドが揃っていた。観客、出演者、スタッフの表情には笑顔が溢れ、全ての人達が、素晴らしい演奏と美酒に酔った。そして一曲の演奏が終わる度に、隣合う人同士、互いの頬にキスをし合った。
終演後、外に出ると会場時に少し降っていた雨は止み、雲の空き間から星が輝いていた。この時期私を苦しめるイネやブタ草の花粉も、この時だけは止んでいるようで、私はマスクもせず、何度も深呼吸を繰り返した。
これらの記憶は曖昧だけど、だいたいそんな感じの、幸せな夜だったと思う。

翌朝、二日酔いで気怠い中を早起きし、自宅マンション近所の堤防を歩いた。早朝の堤防の道は、私以外は誰も歩いている人は無かったが、途中、二羽のアオサギが、川を向いて並んで立っていた。二羽は剥製のように全く動かない。じっと止まったまま、一体何を見ているのかと、その視線先に目を向けると、川の水面に枯れた水草が溜まって小さな浮島のようになった所があり、そこにも二羽のサギがとまっていた。こっちのサギは、アオサギとシラサギで、その浮島の周りを七、八羽の鴨の群れが、まるで囃し立ててるみたいに、ぐるぐる何周も旋回をしていた。
しばらくその光景を眺めていたが、四羽のサギはその後もほとんど動く事はなく、やがて鴨の群れもいなくなった。
自分も帰ろう、と思った。帰りに缶コーヒーを買おうとコンビニに寄ると、何かものすごく鳥の肉が食べたくなり、普段滅多に頼まないレジ横のフードコーナーから、フライドチキンを買って食べた。


これ以降、しばらくライブの予定はありません。ただやはり、ライブでの演奏は楽しいので、タイミングさえ合えばいつでもやりたいとは考えてます。近い先か遠い先かはわかりませんが、またいつかよろしくお願いします。