阿波美食探訪シリーズ

今年の夏は素麺をよく食べた。今も食べている。
私が好きなのは、半田素麺と呼ばれる、県西部半田地方の特産品として昔から作られている素麺で、最大の特徴はその太さである。一時はその太さが当時の「素麺」と分類される規格から外れていたため、他の呼び名に改名されそうになった事もあったらしいが(ウィキペディアより)、この讃岐うどんとも、スパゲティでいうアルデンテともまた違ったコシのある麺がとても好きなのだ。
四国アンダーグラウンドの代表格と言って良いだろうバンドのギタリストTちゃんが、数年前、半田素麺の某製麺所の娘さん(この人も他のバンドの素晴らしいヴォーカリストだった)と結婚して、そこでの仕事にも就いており、ある暑い日、あの通常の素麺の5倍ぐらいはある太さの半田素麺を無性に啜りたくなり、彼の働く製麺所から、妻の実家分と合わせて5kgの段ボール入りをネット注文した。
アマゾン並みの速さで商品が届いたのにも驚いたが、中を開けてもっと驚いた。注文分の素麺の他に、ふしめん、手延べそば、手延べうどん、数量限定の最高級素麺、などなど、しばらく、注文を間違えられた?と思うくらいに、梱包の段ボールと5kgの素麺箱との隙間に「おまけ」が敷き詰められていたのである。
初めての注文客に対して他の商品の「お試し」として付けているのか、それにしても一品ごとの量が多い。Tちゃんは友達だから、自分の注文名で気付いて「おまけ」を付けてくれたのか、これも彼が梱包をしたりメール注文の受付をしていると思えず、考えにくい。
早速、その日の夜から素麺は何度も我が家の食卓に上がった。何度上がっても嬉しい。
徳島を代表するコミックバンド、四星球のボーカルの北島やすお君がこの半田地方の出身で、地元から「そうめん王子」としてPR大使に任命された事がある。Tちゃんはそのことについて「真の『そうめん王子』はこのオレだろがっ、て思ってるんですがねぇ」と、本当に忌々しい、恨めしい表情で話した事を思い出した。
そんな本気のTちゃん達が作ってる製麺所の素麺が美味くないわけないのである。