年忘れミュージックライフ

先日レコーディングをした。
これまでに何度もしているが、レコーディングは苦手だ。ライブも、演奏のミスが多く、苦手だ。その苦手なものを、人様に聴かせたり見せたりして興奮している自分の神経は、マゾの人、露出狂の人に近い。
それにしても、録音するとつくづく思うのだが、自分はもう20年近くもの間ドラムを演奏しているはずなのに、もの凄い下手だ。知識も全く無い。
レコーディングは通常、各楽器の音作りから始まる。この音作りの時、隣のミキシングルームから「ライド叩いてみて」と指示があったのだが、この時「ライド」がわからなかった。シンバルの一種だとは知っているけど一体どれがライドなのか、自分はこれまで曖昧なまま誤魔化してきたのだ。
もちろん20年のドラムキャリアがあって今さら聞けるはずが無い。
ハイハットシンバルはどれかわかる。二枚のシンバルが貝みたいに重なってるヤツがそうだ。となると自分のセッティングの場合だと、残り3枚のシンバルのどれかだ。
もうわからないので、その3枚をとりあえず全部叩いた。ガッシャンガッシャンとしばらく叩いた。同じ部屋にいてアシスタントをしてくれているスタジオスタッフのBさんは、突然、私がサルのオモチャそっくりになったので、まず驚いた表情だったが、あるシンバルにスティックが当たる瞬間にだけ、ややホッとしたような顔をする事を、自分は見逃さなかった。その一番面積の広いシンバルこそ、ライドシンバルであると、私は見抜いた。
この辺の頭回りの良さ、勘の良さが、20年のキャリアなんだよ、と自分で思った。

先日、ライブをした。
北九州の友人バンドinfro招集による、イタリアのshizuneのジャパンツアー、その徳島編に出演した。徳島での主催は地元若手バンドKAINが受けた。彼らは一番目の出演で、平日のため自分は仕事終わりの会場入りになると、残念ながら間に合わず見る事はできなかった。
shizuneはとても良かった。激情ハードコアと区分されるバンドなのだろうけど、この手のバンドによくある重さがあまり感じず、軽やかさがあった。やはりイタリア人の陽気さがライブの音にも影響してるのかなと思った。メンバー5人全員人懐っこい性格のようで、しかも男前だった。イタリア人は体格が日本人とあまり変わらないから身長の低い自分としても親しみが湧く。
しばらく人前で酒を飲んで無かったが、この日は自分達の演奏が始まるくらいからビールを飲み始めた。あまり酔うまい、と思いながら飲み始めたが、結局酔ってしまって日が変わった事にも気付かなかった。

つい先日、CROWBARで恒例の忘年会ライブに出演した。
今日は酔うのだ、とハナから決めていて、ビール、ウィスキーを飲んだ。しばらくすると酔った。
俺は酔ったぞ、と思った。