U君の話

ある用事の帰り、いつもと違うスーパーへ買い物に寄った所、そこへ就職している高校時代の友人、U君と久しぶりに再会した。
U君は当時最もよく遊んでいたクラスメイトの一人で(実業高校なので3年間同じクラス)、お笑い好きで、本人自身も非常に面白い男だったが、同時に無類の女好きでもあり、20歳の時、前職の同僚と出来ちゃった婚、仲間内で最も早く家庭を持ち、今では三児の父親である。
青果売り場を担当する彼と、現在の互いの状況(私が今の会社を辞める事も話した)、かつての仲間の近況など、長話をする。
私は高校時代、U君の前ではずっとふざけっぱなしになり、まともな話ができなくなる癖があり、ついこの時も当時の感覚に戻ってしまい、U君に今の仕事を辞めて何か考えているのかと訪ねられたので、
「とりあえず1年間ぐらい勉強して私立の大学でも受験して、受かればそこを8年ぐらいかけて卒業して、それからようやく自分探しの旅?みたいな?」
と答えた所、
「お前、その時いくつよ!?」
と、やや本気の体で怒られてしまい、しゅんとなった。
途中、お客さんから「塩キャベツの元」の場所を聞かれ対応しているU君の姿を見ると、みんなちゃんと仕事してるな、と他人事のように感心した。結局塩キャベツの元は無かった。