私情

最近、妻とのいさかいが絶え無い。
自分の仕事の帰りが遅い事や、退社、転職を仄めかしだした事が根幹にあると考えるが、それに加え、日々の妻からの小言に私が絶えられず、ふててしまう事も多い。

夜、私の失言について、戸締まりについて、この休日の間ずっと小言を言われ続けた私は、ついに癇癪を起こし、自分の頬に平手を打ち、かけていた眼鏡を床に投げつけ、灼熱の自分の部屋に空調も付けず篭城、布団も敷かず横になり、明かりを消し、照明のスイッチになっている紐の先の、蛍光塗料によるボンヤリした明かりを一点、見つめ続け、頭が冷えて来るのを待った。

本を読もうとしても、いい加減、新しい曲の歌詞を書こうとしても悶々として何も手が付かない。

癇癪を起こすなんて事はつくづく格好が悪く、みっともなく、恥ずかしいと思う。
こんな事になるまでは、今日は夕食も面倒だと、近くの量販店でビールと菓子を買い込み、妻と自堕落を楽しむ筈だったのだがそれももう叶わない。
何もせず夜22時を回り、喉が渇いたので、冷蔵庫からビールを取り出し一人飲む。
妻の部屋からは明かりは漏れていないので、もう眠ったのだろうか?
眼鏡をかけてみると、さっき投げつけてしまったせいで、鼻にかける左側の部分が欠けて無くなっていた。