シックオブノスタルジック

こないだ、ブックオフ入口外の、放置気味に陳列された108円CDコーナーを覗くと、groovie ghoulesというバンドを見つけた。知らないバンドだが、オリジナルが89年のlookoutからのリリースで、買ってみたらとても良く、得をした。
この時期のlookoutの4枚組のLPオムニバスを2枚組のCD化したものと、ISOCRASY、SURROGATE BRAINS、Kamara & Carnivalsなどの6バンドのEPを1枚のCD化したものを持っていたので、それらを棚から引っ張り出して確認したが、どちらにもgroovie ghoulesは収録されていなかった。どちらも19歳から21歳、大阪で過ごした2年半の間に買ったCDである。
大阪へは専門学校の学生として行っていたのだが、自分の家庭の収入もよく考えずに進学なんてしたものだから、高校の積立貯金の10万円を最初に貰ったきりで、一切の生活費の仕送りは無く、経済的にはきつかった。特にお好み焼き店のアルバイトで仕事を覚えて、たくさんシフトを入れてくれるようになるまでの最初半年は、これまでの自分の生涯では最も極貧で、本当に飯が食えず、夜のバイトの賄い以外は、朝に食パンを一枚食べると、昼飯がわりにはペットボトルに水道の水を沸かして入れて、それを飲んで腹をごまかして過ごした。
バイトは仕事を覚えるとほぼ毎日、学校が終わり18時から深夜1時まで入ったため、さすがに徐々に経済的には余裕ができ、その金で欲しいCDを買い漁った。それだけが当時の自分の唯一の楽しみだった。
アルバイト先は梅田にあって、ほぼ毎日の、授業を終えてバイトが始まるまでの少しの時間に、梅田丸ビル地下のタワーレコードと、キングコング梅田店を中心に、たまにHEP FIVEのヴァージン、梅田ロフトにあったWAVEなどをローテーションで回った。
たまの休みには、1年目に住んでいた上新庄の住宅街で見つけた、倉庫を改造したような造りのレコードショップ、music boxに通い、深江橋に引っ越してからは、地下鉄でアメ村のタワーレコードキングコング心斎橋店に行った。タイムボムレコードの存在は知っていたが、何度アメ村に行ってもなぜか見つける事ができなかった。
阪急3番街にあった楽器屋を、当時はバンドをやめていたにも関わらず、のぞいてみると、ゴミ箱みたいな箱の中に中古、新古の楽器の教則ビデオテープに混じって、「punk/hardcore」というタイトルの明らかにブートだろうと思われる安い印刷ジャケットのビデオを500円で発見して、案の定、後半はテープが擦り切れまくってて殆ど見えなかったが、1番の目当てのblack flagの他に、husker duの「Don't want to know if you are lonely」のpvも収録されていて、これで初めてこのバンドを知った。同時に誰だかわからないスケートボーダーの凄いテクニック披露も収録されており、そのBGMがminor threatだったのに気付いたのは、それから少ししてfugaziに夢中になってからだった。
古本屋にもよく通い、「Doll」のバックナンバーを探したり、他にも表紙を見てpunk特集を組んでいる雑誌は必ず買った。その時Green Dayのインタビュー記事でreplacementsを知り、すぐタワレコで「stink」を見つけて何度もリピート再生した。
自分はガールズバンドが好きで、1番のきっかけは、タワーレコード梅田店の視聴コーナーで聴いたsleater kinneyの「All heads on the bad one」だった。そこからbikini killを知り、kill rock starsというレーベルを知り、music boxでkill rock starsのコンピの中古盤を見つけて、また新しく好きなバンドを探した。気に入ったものはたくさんあったが、大阪でもそれらのバンド、ミュージシャンの音源は見つからなかった。
今の時代、私などインターネットを使えば何だって検索、入手できると錯覚してしまう事があるが、ここに収録されていたgrouse mountain skyrideなんてバンドは、さっき検索しても出てこない。