私の春の行楽

20代も後半となり、味覚が昔と変わってきたように思う。基本的に好き嫌いは今も昔も特に無いのだが、ここ数年、大好物と呼べるぐらいになってきた食材が「タケノコ」である。煮物や天ぷらは勿論、チョコでコーティングして「タケノコの里」にしても良いだろう。
それを知ってかこの時期、妻の実家の裏山ではタケノコがぽこぽことよく生えるらしく、一度掘りに来てはどうか?との事。
「山の形が変わってしまっても知りませんよ」と、あらかじめ断りをいれ、私の処女タケノコ堀りは行われたのであった。

春、まっ盛りの土曜休日である。
今年の花見もこの土日が最後であるだろうが、私、妻、お義母さんの三人は頭上に散りゆく桜を惜しみもせず、ただひたすら竹林をうつ向いて、真下にタケノコの頭を探し歩く。
すぐ裏山と言えど、ここ数年手入れされていない山道は予想外に厳しい。誰が詠んだか忘れたが、小学校の国語で習った俳句に「わけいっても わけいっても 青い山」というのがあった。おそらくこの作者もあまりの山の険しさに頭がおかしなってしまい五七五がわからんようになったんじゃなかろうか。そんな事を考え、道中、先を歩くお義母さんが掻き分けた木の枝が鞭となって、ヒョッとその後ろを行く私に容赦無く襲いかかる等の苦難を乗り越えながら、タケノコの頭を見付けてはクワを入れ、掘り出す。クワすら初めて握ったシティーボーイの私にはいささかハードワークである。が、次第にコツを掴み一本のタケノコを掘り出すのにクワを入れる回数も徐々に少なくなっていった(師匠であるお義母さんは5、6回クワを入れるだけで掘り出す)。
ついでにミツバ、サンショ等の野草も摘み山を降りる。
夕飯は妻の作る筍御飯、筍とアブラゲの煮物、筍とサンショの葉の柚味噌和え。当然ながらビール。勿論デザートは…?

牛乳プリン食べました。そこは普通に。