妄想とか思い出とか

四月の未明、俺はこの売れない菓子屋の店長になっていたようで、自分に都合の悪い事はいつだって未明のうちに決定されている気がする。被害妄想は膨らむ一方。
数字やら書類やら大嫌いな事に細かくならねばならんようで。この日も提出してた書類の種類が違ってたとかで上司にクソミソに怒られる。「お前、本当にバカ?これからは送った書類の内容、3回は熟読しろ」と罵られ「うっさい、この俺に3回も読ませたきゃ俺の感情に触れる文章に書類を書き直せ。貴様こそ、谷川俊太郎『芝生』とか6回読め!」と心の中で言いたい事は言い「すみません。9回ぐらい読んだ方が良いですね、俺の場合」、現実では答える。
家に帰ると酒を飲みながら、マンガもしくは小説という全速現実逃避の日々。俺の希望はマンガのコマからコマへ移る視線、小説の次のページをめくる指にある。
ここんとこ何十回読むんだってぐらい小原愼司「菫画報」を読み返している。アフタヌーンで連載中の「パノラマデリュージョン」も良いがこの4冊は別格に大好き。最近サン=テグジュペリを読んだのもこのマンガの影響。彼女のタブチさんもジェームス・ディーンが愛読してたという理由で一時読み漁ったらしいが、俺の場合は、このマンガの主人公の星之スミレが「夜間飛行」を図書室で読みながら涙を滲ませている一コマから。やっぱ文化部ですね。
そんな俺は高校時代は柔道部に所属。道場に志村ケンのバカ殿「バカ、再び…」というのビデオのポスターを張り、校長先生から直々に剥がされた苦い思い出がある。