翌朝の高松

打ち上げも終えPMのご友人宅の神社に、皆で宿泊。このプランを聞いた時は、山奥の古い神社を想像していたのだが、実際は町のど真ん中に位置する、新しくて立派な神社だった。
翌朝は皆で蠣小屋に行って、焼蠣を堪能するという楽しすぎるツアーなのだが、我々TCは自分が早く帰らねばならないという事と、大輔、ユウサク共に「蠣には苦い過去がある」という事で早朝に起床し出発する事となっていた。
が、私が朝五時半に起き、皆それぞれ寝袋で眠っている神社の大広間を見渡すと、大輔の姿が無い。
昨夜は随分呑んでいたようであり、トイレを探し、車内を覗き、池の中を棒で掻き回してみたのだがやはり見つからない。

大輔は一体どこに消えたのか?御供えのお神酒に手をつける等のボートク行為に及び、神隠しにあったとでもいうのか?

宿泊している建物の玄関にあるソファに腰を落とし、一人考えを廻らしていると何処かの部屋からテレビの音に混じり、微かに鼾の音が聞こえてくる。いくつかある襖の前に立ってみると、どの部屋からその音が聞こえてくるのかは明らかとなったのだが、我々の寝泊まりしている大広間から廊下を突き当たった方は、この家の人達の居住空間であり、しかも我々とは直接は全く面識は無い。
早朝から勝手に他人様の眠っているであろう部屋を覗くなど余りにも失礼極まり無い事である。
だが私にはもう迷う時間は無く、無礼もやむ終えず、勇気を振り絞りその襖を開けた。
そこで私が目にした光景…。
それは、薄闇を照らす点けっぱなしのテレビジョンから流れる天気予報、コタツで眠る二匹の小型犬とその飼い主であり家主さんでもある、多分お母さんらしき人。そして、その何も知らず眠っている家主さんの向かいに寝そべり、鼾をたて眠る、ナカノダイスケの姿であった……。