誘惑の街

CROWBARにFRAGMENTSとFHOGを観に行く。
ライブ終わってからまだ酒を飲みたかったので、スポさんも行く事だし打ち上げにもついてゆく。
途中から、今日出演してた県外のバンドと知り合いだったようでex.FC laege selection福本さんも参加。
福本さんは小中学生と俺の先輩に当たり、兄の友達でもあった為、昔は俺の家によく遊びに来たりと古い知り合いである。それでも一緒に飲む機会はあまり無かったので二人で地元の話で盛り上がり、いつの間にやら小学校時代の恋の話へと。
自分が小学四年生、水彩絵の具の斑点だらけのお下がりの制服を着てた頃に好きだった、俺と同じ位眉毛のしっかりした女の子が、何年も経って別の友人の口から「あの子、お前の事好きだったんぞ」と言う事を聞かされ、その時は何とも応えられん気持ちになった、というエピソードを語った。
そうこうしている内にお開きとなり、店の前で次に行くかを思案していると、二人組みの女の子が「何しよん?こんなとこで」と福本さんに声をかける。
その内の一人、ロシア人かかのような四角い毛皮の帽子を被った女の子は、まさかまさかの先程の話題の本人である。やがて彼女も俺に気付き、恐らく酔っているのであろう、「あら、あっちゃん!昔好きだったんよー。」などと言い出すではないか。
これには俺も酔っていたせいもあり、かなり感情を掻き乱される。俺の心に同居する助平さんの声に耳を貸してみれば「超一緒に飲みに行きてえ!」という所であろう。
しかし、そいつはいけねえ助平さん。お釈迦さんやキリストさんも修行中に悪魔の誘惑にあったそうじゃないか。
俺は我に帰り、かつての相思相愛に対し「うるさい、もうえーわ!このピロシキザンギエフ!」と流暢なロシア語を織り交ぜ退散させようとするも、すでに彼女達はサタデーな夜の街に消えてゆく。
そして俺は福本さん、スポさんの三人は「阿波屋」へ〆の一杯のラーメンに繰り出すのであった。