東京での事 1

中国の古い諺に「盲亀の浮木」というのがある。深海の底に住む巨大な盲目の亀が何千年か一度、海面に姿を現し、その時海面にたまたま穴があいた流木がたまたま浮いており、亀が首を突っ込んでしまうという「たまたま」(藤子F不二雄「一千年後の再会」より)。
なにわ小吉のマンガに確かな数字は忘れたが、宇宙人が現れる確率、1/何万。そしてその宇宙人がツチノコを見つけてしまう確率、1/何億。ってのがあり笑わせて頂いた。
どちらもまずあり得ない偶然だろう。

冷や汗も引いた。すでに東京で仕事は終えたが、羽田から徳島行きの最終便も俺を残しすでに飛び立ったのである。
夕暮れと共に俺も途方に暮れそうになったが、チケットも明日朝一の便に変更がきき、仕事も昼からであるため、東京の夜を楽しむ事に。残留者という扱いで空港で一夜を過ごすのも面白そうではあるが、東京といえばやはりあそこに行かねばならん。
そうです。勿論、「阿佐ヶ谷パールセンター」ですよね。なんてったってここには今もあのねじめ正一さんの店、「ねじめ民芸店」があるのだから。彼の小説の舞台もこの阿佐ヶ谷や高円寺近辺が多い。下町情緒溢れ、なんとなくいかがわしくもある。続く