南へ

荒瀬から昼メシを誘われ、その足で県南へドライブ。最近の市町村合併やらでどこが何市やらさっぱりわからん事になっているが、とにかく南へ。
郊外の大型ショッピングセンターに用も無く立ち寄る。特設会場が設けられており、そこでテンションの高い女性がマイク付きのヘッドフォン(名前知らん)でお集まりの老人達を前に「ご一緒に、さんっはい!一万、二千、七百ボルト♪」と合唱させていた。あまりの怪しさに荒瀬と二人見入る。何でも体調が良くなる装置ができたらしい。
さらに南へ。南だが「きたのわき」という海を目指す。田舎の風景。つげ義春の漫画にでてきそうな。畔道には真っ赤な彼岸花がそれぞれ集まって咲いている。彼岸花の茎は脆くスパッと切れて折れるので、小学校の頃はその中に蹴り込んだり、木の棒を振り回したりして、その切れ味を楽しんだ。おかげで帰り道の彼岸花は全て首無しだった。今思えば残酷な遊びだ。この辺りの彼岸花が無事でなのは子供がおらんからだと思う。
「きたのわき」に着いたのはもう夕方だった。流石に綺麗だが淋しい。来年、夏また来るぜ。荒瀬はこれからバイトへ行く。もし疲れたようなら、「一万、二千、七百ボルト♪」